選択範囲とアルファチャンネルの操作

作成:11.03.2001
改訂:01.15.2007
対応Photoshopバージョン:6.0以上




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ここでは選択範囲とアルファチャンネル、それらをマスクとして利用する場合の基本的な操作について実習しながら紹介します。


もくじ

選択範囲とアルファチャンネルとは?
「選択範囲」は文字どおり、画像の一部を選択するものです。Photoshopではフィルタ効果の適用範囲を指定するときなどによく利用されます。

「アルファチャンネル」とは、画像を構成している「チャンネル」という要素にプラスアルファされた、特殊なチャンネルのことです。Photoshopではアルファチャンネルに選択範囲を記録したり、またアルファチャンネル自体を編集したりできます。アルファチャンネルは画像の一部を保護する「マスク」としてよく利用されます。

基本的な操作(選択範囲の作成、変形、保存)

  1. Photoshopを起動し、メニューから[ファイル]→[新規...]を選択します。
    今回は幅:200pixcel、高さ:200pixcel、解像度:72pixcel/inch、RGBカラーを指定します。



  2. ツールパレットから楕円形選択ツール()を選択します(みつからない場合は、選択ツールの部分でマウスボタンを押したままにすると出てきます)。


  3. 画像で適当にドラッグして、選択範囲を作成します。蟻の行列みたいな点線があらわれます。



  4. メニューから[選択範囲]→[選択範囲を変形]を選びます。
    選択範囲のまわりに枠線と白い小さな四角形(ハンドルと呼びます)があらわれます。


    枠線やハンドルをドラッグすると、選択範囲が変形します。
    変形を確定させるときはEnterキー、確定せずにもとに戻すときはEscキーを押します。


    ヒント:矩形(くけい)または楕円形選択ツールを使っているとき、ツールオプションバーの「スタイル」項目では、作成する選択範囲の形状を厳密に指定したり、比率を指定したりすることが可能です。
    また変形のときは、オプションバーで角度なども細かく指定できます。

    選択ツール使用時のオプションバー

    変形のときのオプションバー



    ヒント:複雑な形状の選択範囲を作成するには、「なげなわ」、「多角形」や「マグネット」の各選択ツールを使います。
    「なげなわ」「多角形」は、クリックした点をつないで選択範囲を作成します。
    「マグネット」は、色の境界を半自動的に選択しながら、なげなわと同様の選択が可能です。

    なげなわ、多角形、マグネットの各選択ツール
    マグネット選択ツールによる選択


  5. メニューから[選択範囲]→[選択範囲を保存...]を選びます。



    そのまま[OK]ボタンをクリックします。画像上には特に変化はありませんが、これで選択範囲は「アルファチャンネル1」として記録されます。チャンネルパレット(画面上にみあたらないときは、[ウィンドウ]→[チャンネルを表示]を選んでください)に存在することを確認します。


  6. チャンネルパレットで、「アルファチャンネル1」をクリックしてアクティブにします。



    選択範囲の内側が白色、外側が黒色になっています。


  7. チャンネルパレットで、「RGB」をクリックすると画像はもとに戻ります。


    チャンネルパレットの「レッド」は画像の赤色の成分、「グリーン」は緑色の成分、「ブルー」は青色の成分をあらわし、「RGB」はそれら3つが合わさった合成チャンネルです。これらは「カラーチャンネル」と呼ばれます。
    今回、練習で使っているファイルはまだ作成したばかりで、いずれも真っ白ですが、写真などでは下の例のようにチャンネルが色の成分ごとに別れているのがわかります。




    写真でのチャンネルパレットの例




ちょっと複雑な操作(選択範囲の合成、アルファチャンネルの演算)

ここでは、2つのアルファチャンネルを利用して、選択範囲を作ってみます。

  1. 前の「基本的な操作」からの続きの作業となります。
    [選択範囲]→[選択を解除]を選択します。選択範囲はなくなります。



  2. [選択範囲]→[再選択]を選択します。先ほどの選択範囲が復帰します。


    ヒント:「再選択」ではこのように直前の選択範囲を取り戻すことができます。


  3. 今度は矩形選択ツール()で、適当に選択範囲を作成します。先ほどの円形の選択範囲より少し大きめに作ってください。



  4. できたら、[選択範囲]→[選択範囲を保存...]を選択し、[OK]ボタンをクリックします。
    今度は「アルファチャンネル2」ができているはずです。





  5. [選択範囲]→[選択を解除]を選択します。選択範囲はなくなります。


  6. [選択範囲]→[選択範囲を読み込む]を選択します。チャンネルに「アルファチャンネル1」を指定して[OK]ボタンをクリックします。



  7. 最初の円形の選択範囲が復活します。



  8. そのままの状態で、また[選択範囲]→[選択範囲を読み込む]を選択します。チャンネルに「アルファチャンネル2」を指定し、さらに下のほうで「選択範囲に追加」を選んでから[OK]ボタンをクリックします。



  9. 選択範囲は2つが重なった範囲になります。



  10. [選択範囲]→[選択を解除]を選択します。選択範囲はなくなります。


    ヒント:個々のチャンネルは、[イメージ]→[演算...]コマンドで論理演算することでまったく新しいアルファチャンネルを作成することもできます。

    例えば、下の例では「アルファチャンネル1」と「アルファチャンネル2」を「差の絶対値」で演算し、新しいチャンネルを作成しています。


    [イメージ]→[演算...]コマンド





    アルファチャンネル1

    アルファチャンネル2
    差の絶対値による
    アルファチャンネル

  11. アルファチャンネルはチャンネルパレットの下のほうにあるボタンで追加することもできます。



  12. 上記の[新規チャンネルを作成]ボタンをクリックして作ってみてください。
    選択範囲から作ったときとは異なり、まっくろのアルファチャンネルが作成され、
    自動的にアクティブになります。



  13. これをブラシツールなどで編集して、あとで選択範囲として読み出すこともできます。




    ブラシツールで編集した
    アルファチャンネル
    (白い部分が選択範囲になる)
    左のアルファチャンネルを
    選択範囲として読み込んだところ


  14. またアルファチャンネルは256階調のグレースケールで表現されますので、例えばグラデーションツールを使用すれば、なめらかな変化のある選択範囲が作成できます。



    ヒント:こうしたアルファチャンネルをマスクとして使い、画像の一部をフィルタなどの影響から保護することで、特殊な効果を得ることもできます。

    グラデーションのあるアルファチャンネルとそれを選択範囲に使ってフィルタを適用した例(フィルタは[フィルタ]→[スケッチ]→[グラフィックペン...])


    アルファチャンネル1

    もとの画像
    アルファチャンネル1
    を選択範囲に使用して
    フィルタ適用



自動選択ツールの操作

ここでは、自動選択ツールを使って選択範囲を作ってみます。

  1. 練習用に適当な大きさのファイルを新規作成し、適当にグラデーションを描きます。
    図のような白黒でなくてもかまいません。



  2. ツールパレットから自動選択ツール()を選択します。
    ツールオプションバーで、許容値「32」の状態で、画像の一部をクリックします。自動的に色の似た部分が選択されるのがわかります。



  3. 今度は許容値「16」で同じように実行します。自動選択されますが、範囲が前のときより狭くなっています。許容値オプションを操作すると、選択範囲にするレベルを調整できます。



  4. 練習用にあたらしくファイルを開きます。選択の対象になる、適当な対象物があるとよいでしょう。
    ここでは、この画像の鍵を選択してみたいと思います。形状が複雑なので、なげなわやマグネット選択ツールを使っても、慣れていないとちょっとやっかいです。ただ、背景は単純です。
    こういうときは、背景を自動選択ツールで選んで、最後に選択範囲を反転させると簡単で、うまくいく可能性が高くなります。



  5. 自動選択ツール()で、適当な位置をクリックします。選択範囲ができますが、ところどころ選択されてほしいところがされていません(鍵の持ち手部分など)。



  6. Shiftキーを押しながら、自動選択ツール()で、選択範囲に加えたい部分をクリックします。
    選択ツールは、Shiftキーを押しながら使うと選択範囲を次々と付け足していくことができます。


    繰り返すとこんなふうになりました。


  7. [選択範囲]メニューの[選択範囲を反転]で選択範囲を逆転させます。ほぼ鍵の形状に選択されました。




クイックマスクモードの操作

ここでは、クイックマスクモードを使って選択範囲を作ってみます。
クイックマスクモードは一時的なマスクを作成するモードで、アルファチャンネルのように保存はできませんが、画像から選択範囲を作る場合なあどに便利です。

  1. 練習用に適当な大きさのファイルを新規作成します。
    今回は幅:200pixcel、高さ:200pixcel、解像度:72pixcel/inch、RGBカラーを指定しました。



  2. ツールパレットの下のほうにある[クイックマスクモードで編集]ボタンをクリックします。



  3. ブラシツール()を選択して、画像の上をドラッグしてみます。うす赤色で線が描かれます。



  4. ツールパレットで、先ほどのボタンの左隣にある[画像描画モードで編集]ボタンをクリックします。


    ブラシで描画した部分の外側が選択範囲になっています。
    クイックマスクモードでは、このように塗りの外側が選択範囲となります。


  5. 練習用にあたらしくファイルを開きます。選択の対象になる、適当な対象物があるとよいでしょう。
    ここでは、この画像のペンギンを選択してみたいと思います。



  6. なげなわツール()で周りをドラッグして、ざっくり選択します。



  7. [クイックマスクモードで編集]ボタンをクリックします。


    選択範囲の外がうす赤色で表示されます。


  8. ブラシツール()を使って、塗り残しの部分を塗ります。
    塗りすぎた部分は消しゴムツール()で消してください。



  9. 塗りが完成したら、[画像描画モードで編集]をクリックします。


    前より正確な選択範囲ができました。


★今回のまとめ★
選択範囲は画像の一部を指定するのに利用します。一度作成した選択範囲は、アルファチャンネルに記録して再利用することが可能です。
クイックマスクモードでは塗りを使って選択範囲を作成できます。
今回は次のような操作を実習しました。






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